赤の工場 – 真紅に染まったベンガラ工場

廃墟の情報
廢墟レポート vol.114:赤の工場 The Red Factory

こんにちはtamuraです!
今回は岡山県にある有名なベンガラを生産していた工場にやってきました。
山奥に存在し、谷部を切り開くように工場地帯が広がっていました。
建物は全部赤い…!生産の過程で飛び散った酸化鉄が付着したものでしょうか?!

工場内を散策すると、さらにその赤さが濃く驚きました。
赤い工場という名前は伊達じゃない。本当に真っ赤。真紅の工場です。

この工場はベンガラ製造で有名な会社の一工場でした。県内には他に数箇所の工場があったようです。
この地方のベンガラ生産の歴史は古く、明治時期あたりからベンガラの生産が始まったそうです。
ベンガラは人類が初めて使用した赤色の染色料で、古くは18,500年前頃にスペインにある世界遺産「アルタミラ洞窟」に描かれている壁画に使用されています。
日本でも縄文時代の土器に赤色で着色していたという事例があるようです。

大きな容器。ここにベンガラを保管していたのでしょうか。

何から何まで赤くて、道も天井も真っ赤っか。
閉業から20年近くが経過しているのに、綺麗な赤色ですが驚く事ではありません。
ベンガラは空気中において最も安定な酸化状態の為、化学変化が起こりにくく数十年、数百年、数千年と同じ色を放ち続けます。

流れる小川ももちろん赤い。

巨大なタンク。

製造されたベンガラは塗料やゴムなどの着色料として利用されていたそうです。

ベンガラ(弁柄)とは、日本由来の名前なのかと思いきや、インドのベンガル地方で生産されていたのでベンガル→ベンガラと言われるようになったそうです。

ホッパーのような機械と真っ赤なダクト!

HDR(風)
1922年に創業され、長い間トップシェアを誇っていたものの、事業撤退とは代替品が出来たのでしょうか?

ちなみにベンガラの発色成分は「酸化第二鉄」というもので組成式は「Fe2O3」、簡単に言えば赤いタイプのよく見る錆です。
しかしこんなに散策が大変だとは…。できるだけ触らないように気をつけていたので被害は最小限でしたが、靴のゴム部分が白い靴を履いていたので、底が真っ赤になってしまいました笑

混合器のボタン

ホッパー下部。

中和ポンプ。
昭和40年代頃、製造過程で排出される亜硫酸ガスや排水による公害が問題となりました。
その時期から製造方法が変わったそうですが、中和して無害化する必要があったのでしょう。
実際の別の工場では検査が入り土壌汚染が発覚したそうです。

さらに奥の部屋には事務所がありました。事務所の中まで真っ赤。
当時働いていた方々は真っ赤になりながら作業されていたんでしょうね。

奥の部屋には他社サンプルの棚が置かれていました。
同じベンガラでも様々な赤があるそうで、その中でもベンガラで有名な吹屋のベンガラは鮮やかな赤色をしていたのだそうです。
主成分「Fe2O3」の他に入る不純物の種類や、粒子の細かさによって濃さ鮮やかさが変わるのだそうです。
感想・まとめ
赤の工場と呼ばれる廃墟は名の通り赤一色の世界が広がっていました。赤は赤なのですが、自然由来のものなのでどこか目にしっくりくるようなこないような。
かつては塗料に使用する為に製造されていたベンガラですが、「Fe2O3」は着色の他、防腐剤等様々な用途があり、化学が発展しビデオテープが出てきた時には磁気記録材料としても使われるようになりました。着色から記録媒体へ変化し需要を伸ばしてきたベンガラ産業ですが、時代はアナログからデジタルへ変化し、CDやDVDなどの登場で需要が激減しました。
ちょうどそんな頃にこの赤の工場も、本社が別会社に譲渡され閉鎖される事に。時代の変化とともに消えていった産業の一つとなりました。


