古都コトイメージSmart

2015.10.25

犬島の精錬所跡 – スラグ煉瓦と煙突とアートの島

犬島精錬所

廃墟の情報

犬島
精錬所跡
場所 広島県
料金 2,060円+船代
建設 1919
廃墟化 1925


MAP:岡山県岡山市東区犬島327−5

廢墟レポート vol.26:犬島精錬所跡 Inujima Island

岡山の宝殿港から300円を支払い10分程度の船旅で犬島に到着した。

朝6時の始発便、キンと冷えた空気、空がオレンジ色に包まれてとても神秘的である。

そう、僕らは犬島精錬所の開門時間を知らなかったのである。(権蔵さんゴメンなさい

つい今しがた夜が明けたところであるが、どうやら犬島美術館は10時開門。

僕らはカフェのベンチで寝た。

暇に暇を重ねた末、奇跡的にどうにか僕らにも10時が巡り巡ってきました。

犬島美術館のチケット(2060円)を購入し、10時ちょうどの開門を待つ。

10時になり、分厚い丸メガネのアーティスティックかつ知的そうな女性が門を開けてくれた。

門が開けばまずはスラグ煉瓦で出来た建物跡の中を歩き美術館へと案内されます。

1909年(明治42)年から銅の精錬が行われ人口3000人にもなった島だが銅の値段が下がり1919年(大正8年)までのたった10年で廃業。

それから100年ずっと放置されていたものをどっかの財団がアートの島へと仕立てあげた。

美術館へと入っていく訳だが美術館内は撮影禁止。

中へ入るとまっすぐ遥か向こうへと続く薄暗い廊下へ案内される。

床にはさきほどのスラグ煉瓦と壁はギザギザの鉄壁で遥か向こうには外の灯りが見えるのみで部屋中はひんやりしている。スラグ煉瓦は温度を維持する特徴があり、鉄は熱伝導性が高く、夏でも冷たい地下からの冷気を吸い上げてスラグ煉瓦をも冷やし部屋全体を涼しくしているという訳らしい。ギザギザは表面積を広くする為のもの。

少し歩くと遥かむこうと思えた景色は鏡で反射されまっすぐの道ではない事に気づく。45度に設定された鏡が空の光のみを取り込んでいるという仕組みになっている。

最後は外へと案内されるかと思いきや最後は窓やドアなどが吊るされた変な薄暗い部屋へ出てきた。

窓から見える吊るされたドアや窓などは煙突が空気を吸い上げる事によって生じる風でゆらゆらと動いている。煙突は絶えず空気を吸い上げる為、風を生みそれが涼しさとなるという。

次に案内されたのは太陽の熱を取り込む暖かい部屋。天井はガラスで床と壁はスラグ煉瓦でできており、天井から入ってきた太陽の熱をスラグ煉瓦吸収し冬は外が0度でも15度は下回らないほどの温度を維持するらしい。

といった犬島の精錬所の特徴を最大限に利用しエアコン暖房なしで部屋を暖めたりひんやりさせたりする体験型エコ施設である。

 そして長い施設を出ると、その先に君臨するは暇を持て余した謎の老婆。

ここで案内人から恐ろしい一言が発せられる。

良かったらおばあさんのお話聞いてあげて下さい。

その後、30分間ためになるいい話を聞かされたという。

 実際の所、おばあさんの話しを聞いてからめぐるとより楽しく施設内を巡れるのは本当です。

施設の屋上は周囲を見渡せるようになっていて煉瓦積みも上から眺められる。
手前の四角いのんは光を取り込む仕組みで、さきほどの施設内の薄暗い廊下へ光を送り込んでいる。
さらに順路を進んでいくとなにやら遺跡みたいな風景が。
階段を登っていく。
スラグ煉瓦。
見えてる煙突は、施設で利用している綺麗なもの。
100年前からそのままだというが、崩さない限りはその役割を果たし続けるらしい。
溶鉱炉跡の壁。中へも入っていけます。
溶鉱炉跡を上から眺める。有名な構図です。
こちらの池は銅を採掘していた跡地。銅は地下深く掘れば掘るほど質の良いものが取れたらしく大きく掘られた跡はいまは数箇所とも池となって残っている。
そして最終地点はこの発電所跡。これがもうすばらしい!
なぜ発電所はどこもこんな綺麗なんでしょう。
若干葉が紅葉していて煉瓦とマッチしておりすばらしい。窓の形もオシャレです。
写真で見る感じより実際はかなり大きく迫力もあって吃驚しました。
こちらは煙突の窓。火力発電なので高い煙突が設置されています。
ついに犬島とお別れの時間です。もうすこし撮っていたかったのですが時間もありません。

感想・まとめ

犬島は白い廃校のおまけというか、発電所の廃墟を見にきたようなものですが、それ以外にも歴史や博物館の構造など知っていくうちに犬島の魅力にすっかりハマっていました。

もう少しゆっくり撮影したかったのですが、僕がおばあちゃんの話に聞き入ってしまったせいで時間もあるので早めに切り上げとなりました。まだまだ見方がありそうな犬島、一日かけてゆっくり巡ってみたいのでまた来たいなぁ。

山と終末旅の管理人について
たむ - tamura -
平成3年生まれ、京都に住んでいます。登山や、夜景、人の少ない観光地へ行って、現実から逃げ、非日常的な体験をする事が好きです。

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