古都コトイメージSmart

2014.01.07

夜景の採点基準

 山と終末旅では、夜景を迫力(角度)と奥行き光量パノラマ地形的特徴町の作りを構図として捉えた時の特徴(筋)、それぞれ4点満点で合計20点満点で採点しています。

夜景ページ開いてすぐにある★5つの評価(美しさ)は、それらの総合点数により評価したもので、点数は以下のようになります。

★★★★★:合計15点以上
★★★★☆:合計12点以上
★★★☆☆:合計9点以上
★★☆☆☆:合計5点以上
★☆☆☆☆:合計4点以下

角度と奥行き

 

 迫力のある夜景といえば、展望地から町までの距離が近く、手前に遮るものがない事が重要です。見えている町の景色全てでワンセットの夜景ですが、迫力の有無を考えた時に最も重要なのは見えている一番手前の地点なのです。

画像にあるように直角三角形で展望地と町の最も手前の地点の距離から角度を求める事ができます。

例えば、標高が300mの展望地から、見えている最も手前までの直線距離が1000mであれば角度は約17°となります。直線距離が1500mになれば角度は約11°になります。

角度が下がれば遠くに夜景が見えているように感じ、角度が上がれば夜景が足元から広がっているように見えます。

さらにそれに奥行きがあれば夜景の魅力はさらにプラスされます。ガスっている時より大気の良い時の方が魅力的に見える理由は、町の輪郭がはっきりする他、遠くまで眺められる事があります。また奥行きが無ければ見えている夜景の幅が狭く、せっかくある地形的特徴や町の特徴をうまく見ることができません。

夜景は近ければ迫力、遠ければ神秘性が増します。標高が高い所からの夜景は、町が雲の下でキラキラ輝きまるで宝石が散りばめられたように見えます。

展望地から近い地点は迫力、そこからさらに奥行きがあれば距離が離れその先は神秘性が増します。迫力と神秘性のコントラストが夜景の魅力が増す一つの要因と言えます。

 

 京都府にある大岩山展望台からの夜景。

最も手前に見える地点は深草谷口町の住宅街です。そこまでの距離は約1km、展望地の標高は170mですから角度は9°になります。

なんとなく山を挟んで向こう側に見えてるなぁという感じがしますよね。また夜景自体が遠いので、奥行きを感じられません。その為、ただ光があるといった感じで町の特徴はうまく捉える事ができません。

 

 神戸市にある摩耶山掬星台からの夜景。

今度は日本三大夜景で、大迫力夜景と言われる摩耶山掬星台ですが、最も手前に見えるのは直下にある長嶺霊園の横のマンション「グランドメゾン六甲なんちゃら」で、距離は約1600m。掬星台の標高が650mなので角度は22°となります。16°を超える夜景はかなり迫力があり、20°を超えれば足元から夜景が広がっているようなそんな感覚になります。

また、ここは高さがある為、手前の神戸市から大阪湾をはさみ大阪南部まで弧を描くように見えており奥行きが感じられます。高さがあり奥行きがあると町の特徴はもちろん、地形の特徴もうまく見ることができます。

 

 北九州市にある小文字山からの夜景。

ここの夜景は直下に見えている福田石材が最も近くに見える光になり、距離は670m、小文字山の標高は366mですので角度は28°となります。ここまで来るともう崖の下に夜景が広がっている感じです。足元から見え、奥行きが広がっていると、あたり一面夜景の世界になり迫力がより増します。迫力という面だけで言えば摩耶山の比ではありません。

ですが摩耶山より小文字山の方が素晴らしい夜景なのか・・・?と言われると、僕はそうではないと思います。角度だけで言えばこの小文字山でもビル夜景には敵いませんよね。

角度だけではなく、光量、パノラマ、地形の特徴や町並みが作り出す構図、それらの総合評価で美しい夜景と言えると思います。

角度の採点基準

★★★★:20°以上

★★★☆:15°以上

★★☆☆:ぼちぼちでんがな

★☆☆☆:それ以下

★評価の基準となる角度は、おおよその数字です。例えば最も近い所がメインの部分から極端に手前に見えている場合などは★が下がりますし、手前の地点がわからないほど大きく広がっている夜景は★が上がる場合があります。

光の量と迫力

 

 圧倒的な光の量は迫力と言えます。大阪の信貴生駒スカイラインにある鐘の鳴る展望台は連日多くのカップルで賑わう大阪屈指の夜景スポットです。

しかし鐘の鳴る展望台は角度はあまり良いとは言えません。同じ生駒にあるぼくらの広場に比べるとかなり角度が低いのです。ですが、大都市大阪の光の量がそれを補っているとも言えます。

光が多ければ多いほど良いという訳ではありませんが、圧倒的な光量は多少町から離れた展望地でも迫力があるように見せてくれるというのはあります。

また、光量は展望範囲の規模にも大きく関わっていて、例え東京や大阪のような世界屈指の大都市でも、展望地が遠く離れ過ぎて展望範囲がとても狭い場合は光量があるとは言えません。光量とは、奥行き、パノラマとも大きく関わっています。

光の量の採点基準

★★★★:盆地、平野一杯に光が溢れている

★★★☆:光が多いが、距離が離れている、一部市街地のみに集中している等

★★☆☆:ぼちぼちでんがな

★☆☆☆:光が少ない

パノラマ

 

 夜景の迫力は角度と光量ですが、夜景の規模はそれにパノラマと奥行きがプラスされます。

首を振り回してみる夜景というのは臨場感があります。また光の量は迫力と説明しましたが、展望範囲が狭いより広い方が取り込む光量が多く、大パノラマは結局迫力にも繋がります。

パノラマ・奥行きの採点基準

★★★★:首を振るほどの大パノラマ

★★★☆:広角レンズで収まらないほどのパノラマ

★★☆☆:ぼちぼちでんがな

★☆☆☆:普通レンズで収まる程度

地形的特徴

 

 地形の特徴は夜景の魅力に大きく関わると思います。ビル夜景より山夜景の方が綺麗に見える理由はここにあると思っています。

上の写真は京都の音羽山からの夜景。夜景の美しさは光と影のコントラストであり、町を囲む山々が夜景の形を作っています。夜景撮影は昼間の写真より構図に気をつけなくても誰でもある程度綺麗に撮れてしまうのは、地形自体が構図を作っている為で、音羽山も地形で三角構図が成り立っているので人の感性にしっくり来る美しさを感じやすい夜景と言えます。

 

 この写真は滋賀県にある権現山の山頂からみた夜景です。このからの景色も琵琶湖を囲むように広がる町並みが非常に特徴的で魅力的なスポットです。

摩耶山は大阪湾を囲むように広がる神戸・大阪の町並み、函館山はくびれのような半島の地形など、日本三大夜景に選ばれるような美しい夜景は全て地形が特徴的な場所が選ばれています。

地形的特徴の基準

★★★★:その都市の地形的特徴をうまく捉えている(盆地や平野、山、湾の形等)

★★★☆:一部特徴的な地形が含まれるが、見る角度が惜しい等

★★☆☆:ぼちぼちでんがな

★☆☆☆:特徴のない夜景

町が作り出す構図(筋)

 

 山々が作る地形的な特徴があれば、町が作り出す特徴もあります。

写真は鳥取県にある久松山からの夜景。地形的な特徴があるかと言われればそこまで特徴的ではありませんが、町の作りを見てみると、大きな幹線道路が大きくカーブし逆Cの字になっている事が分かります。

こういた幹線道路や高速道路、河川など光の海の中に浮かび上がるラインを私は勝手に「夜景の筋」と言っています。写真にはなになに構図といった人の感性にしっくり来る構図がありますが、久松山の場合は夜景の中に浮かび上がるC字にカーブする幹線道路が写真のC字構図に当てはまります。C字やS字などといった筋は非常に安定感があり、流れるものをみるような癒やしがあります。

 

 この写真は静岡県にある高草山から見える夜景です。この夜景スポットの大きな特徴といえば、中央を走る東名高速道路です。オレンジ色に浮き上がったまるで筆で書いたような美しくカーブした筋はこの夜景スポットの魅力を格段に上げています。

 

 こちらは大阪のぼくらの広場からみた夜景。例えばこの夜景でいうと、写真の構図でいう「放射線構図」が当てはまります。放射状に見える高速道路や幹線道路が、収束点に向かって伸びています。放射線構図は「迫力」を演出する特徴があり、夜景の筋に当てはめても放射線状に広がる夜景は一回りも二回りも迫力があるように見えます。

町が作り出す構図の基準

★★★★:河川や高速道、幹線道路のラインがS字、C字、放射線構図などになっていて夜景全体とマッチしている

★★★☆:河川や高速道、幹線道路のラインがあるが、全体のメインからずれている等

★★☆☆:ぼちぼちでんがな

★☆☆☆:平坦で特徴のない夜景

まとめ

 迫力(角度)、光量、パノラマと奥行き、地形的特徴、町の作りを構図として捉えた時の特徴(筋)のどれかだけがずば抜けていても素晴らしい夜景とは言えません。「光量、パノラマ、迫力(角度)」はその夜景の迫力を意味し、「地形的特徴、町の作りの特徴(筋)」は芸術性を意味しており、それぞれが上手いこと調和した夜景がトップクラスの夜景です。各4点ずつありますが、全てが完璧な夜景はないので満点をつけれる夜景はありません。

例えば、地形的特徴と、町の構図(筋)の特徴は、両方が満点というのはほとんど無く、構図で言えば地形的特徴は広角撮影、町の構図は引き算構図で撮影するものなので種類が違います。地形的特徴があれば町の構図(筋)は無視出来る存在ですし、逆もまたそうと言えます。

また光量は多ければ★は増えますが、★が1や2だからといって悪い夜景ではありません。地形的や町の筋の特徴をしっかり抑えていたり、角度が良ければ素晴らしいといえる夜景ポイントもあります。

夜景において重要な地形の形、町の作り次第で魅力を最大限に撮影する事ができますが、「光量、パノラマ、迫力(角度)」は写真では皆さんに本物に近い魅力を伝える事はできません。その為、芸術性の高い特徴的な地形の夜景だけが評価される傾向にありますが、迫力こそ夜景の本質であると思ってるので、迫力、芸術性が合わさって本物の素晴らしい夜景である事を伝える為、また迫力系に偏った夜景の素晴らしさもうまく評価できるように、このような採点方法にしてみました。

総合得点で夜景を判断するより、それぞれどういう特徴がある夜景なのかをわかって貰えれば嬉しいです。

山と終末旅の管理人について
たむ - tamura -
平成3年生まれ、京都に住んでいます。登山や、夜景、人の少ない観光地へ行って、現実から逃げ、非日常的な体験をする事が好きです。

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