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2019.05.01

回想の湯 - 古き良き昭和の古朴な廃銭湯

廃墟の情報

回想の湯
銭湯

廢墟レポート vol.134:回想の湯 Reminiscences of public bath [Sento]

 こんにちはtamuraです。

 とある廃墟を撮影されている方が、ネットで銭湯の写真をアップされておられて「こんな銭湯が今も廃墟として残っているのか!」と衝撃をうけました。

 とても小さな銭湯なのですが、昔ながらの味を残していてすごく魅力的に感じた僕はすぐに撮影に向かいました。

 僕が子供の頃に初めて家族で日本一周した頃はよく銭湯に行っていましたが、中にはこういった木造の銭湯にも訪れていて、思い出がフラッシュバックしなつかしさが込み上げてきました!

 近所の人々が行くようなこじんまりとした銭湯…なんだか20年以上前のあの頃を思い出すような、そんななつかしい気持ちになる銭湯跡でした。

 木造の銭湯というと珍しく感じますが、地元京都では平安時代から銭湯(湯屋)があったと言われ、今も5~90年前の昭和モダニズムを残す銭湯が多く残っており銭湯巡りをすると面白いです。

 古い井戸ポンプが残されていました。

 ヘッコヘッコ漕いでみようかなとも考えたのですが、ほんまに出てきたら収集つかんなと思ってスルーしました笑

 ボイラーと煙突。レンガ造りの煙突は建物が崩壊しつつある今も力強く残っていました。

 こちらは生活スペース。

 銭湯エリアに入ってみました。入り口の中央に番台のあるステレオタイプの古い銭湯ですね。

 って…扉側のロッカーは男湯からガンガン見えてるやん!

 銭湯といえば、近所の人々が集い、裸の付き合いができる交流の場にもなっていましたが、近年の家風呂の普及とともに減少の一途をだどっています。

 最盛期の1965年には2万2000軒もあった銭湯は、2017年3月時点で3900件にまで減少しているそうです。

 ただ日本人は大きなお風呂で羽を伸ばすのが好きなのでスーパー銭湯や温泉といった文化はいまだに健在ですね。

 銭湯は日常的な衛生機能、スーパー銭湯や温泉は休暇やレジャーとして需要があるため、家風呂が普及して影響が出たのは銭湯だったという事でしょうか。

 日本男児の憧れの番台の風景。

 僕が子供の頃はやっぱり親世代がこういった銭湯を利用してきたので「番台は男の憧れ」などと冗談で話を聞く事が多かったと思います。

 まぁ正直な所、番台のおっさんがうらやましいと思ったことは無かったのか?と問われたら、まぁ5歳の僕でもちょっとうらやましかった記憶はあるよね。

 廃墟だからこそ見れるこの構図。客として来たら絶対見ることはできません。誰も居ないけど、ちょっと楽しかったです。

 20数年の時を超えて、ちょっとだけ夢が叶ったような感覚?

 やっぱり営業中に立ちたいよね。ビールなんか飲みながらさ、髪の毛をしっとり濡らした出ていく女の人に「おおきに」とか言ってみたい。

 どっちが男湯でどっちが女湯だったのでしょう?

 銭湯が消えていった理由って、家風呂が普及した以外にも、あまりにも地域に密着しすぎてしまうという理由もあったと思う。

 地元の人が地元で生涯を送るという時代は終わり、高度経済成長期には核家族化も進んで、それがちょうど1960年代とかその頃なんですよね。

 子供は都市圏に行き、時代の流れで利用する客が減ってきているのだと思います。

 う~ん、左側は産婦人科の広告があるので、こっちが女湯っぽい?

 左上に料金表がありました。400数十円。一回のお風呂に400円強って今思うとものすごく高いと思うんです。

 銭湯の経営って一つ一つにものすごくお金がかかることは分かりますし、こういった銭湯も建て替えやボイラー設備を整備しようと思えば数千万のお金がかかり、現代風に建て替えると固定資産税も上がります。

 利用者が激減する中、設備投資をして元が取れるのかも問題です。そう考えると400~500円という金額は妥当?かもしれませんが、一家4人で入ると1日に2000円。現代人にとって日常的にそれだけの出費がかさむというのは大変ですよね。

 建物もロッカーもすべて木造です。

 小さな小さな銭湯なのに脱衣所のロッカーは定員をはるかに上回る量がありました。

 かつて常連だった方々の中には、自分のお気に入りのロッカーなんてものがあったんでしょうね~

 僕は割と廃墟を撮影していると目頭が熱くなるタイプで、何も知らないけど(※何も知らないんですよ)、その廃墟のストーリーを妄想するんです。

 どんな所にでもそこに建物があったらストーリー、ヒストリーがあって、きっとここを愛していた常連さんもいたでしょうし、経営されていた方の情熱だったり。

 知りませんよ、全く知らないからこそ、散策開始と同時に自分の中で勝手に綺麗ごとのようなストーリーが始まっていくんです。

 最後に利用した人が残していったのか、タオルが一枚だけかけられていました。

 僕からしたら、このタオル一つで一つの物語が出来ますね。紙に書いて出せと言われたらよう書かんけど、頭の中では収集のつかない無限の妄想が広がります。

 現実を知るときっと「知らん痰ツボの常習者みたいなオッサンが、きったない体をベロンベロンに拭いて、そろそろ汚ななったし…とほかすようにペッと掛けておいたある。」そんなしょうもない状況なんでしょうけど、僕の頭の中には、そのオッサンが昼間に工場で一生懸命汗を垂らしながら働いてる時から、この銭湯にやってきて近所のオッサンと世間話し、家に帰ってビールを開けて風鈴がチリンチリンとなるシーンまでが頭に流れるんですね。そのオッサンの人となりが妄想で膨らんで…おっと目頭が…。

 崩れた屋根の隙間から照らす明かり。

 女湯の風景。沢山のロッカーのわりには数人しか入れない小さな湯舟。

 上の換気口がとても珍しいタイプです。あまり見たことがない。

 蛇口も珍しい形をしています。

 富士山の絵があれば100点の銭湯でしたね。

 富士山の絵といえば、最近某銭湯絵師が炎上していましたが、若者の銭湯を存続させようとする動きが目立っているようです。

 家風呂はいつでも入れて便利でお金もかからないというメリットはありますが、やはり銭湯には銭湯の良さがあって、実際利用してみるとまた着たいなと思わせられます。

 中には昔から変わらないレトロな内装で、目でも楽しめる銭湯も多く、デザイナーズみたいな所もあるようですね。

 スーパー銭湯とはまた違い、個人経営の一軒一軒違う味を持った銭湯というのもあるので、若い世代にも気軽に銭湯を利用してほしいですよね。

 男湯を見てみます。今は脱衣所には扇風機がある所が多いですが、ここではうちわ。

 風呂上りのうちわは気持ちいですよね~。普段の10倍気持ちがいい。こんな気持ちよかったらご入会のしおりの一つでも開いてみようかなってなるよね~

 左右対称で同じ形。

 こちらも天井が崩壊しております。

 最後に…誰かが最後に忘れていったものでしょうか。

感想・まとめ

 サウナや露店もない小さな湯舟だけのとてもこじんまりとした銭湯ですが、古き良き風景を残した素晴らしい場所でした。閉業後かなりの月日が経過しているのか、屋根がひどく崩壊しており、非常に危険な状態でした。

 現在は減ってきている銭湯ですが、かつてのような銭湯は日常的な衛生機能として利用されるのではなく、銭湯は銭湯の魅力を求めて訪れる一つのレジャーとして定着すれば、一定の件数はこれからも残っていくのではないでしょうか。

 ただ、こういった地域に密着した銭湯は時代の流れとともに閉業せざるを得ない状況にあったと思います。一つの日本の文化が廃れていっている現場を見ているようで、少し寂しい気持ちになりました。



古都コトきょーとの管理人について
tamura
平成3年生まれ、京都に住むアウトドア好き。趣味は 登山/夜景/旅/スキー/キャンプ/Urbex など。Olympusユーザー。インコなど鳥が大好き。夜景山岳会所属。好奇心が強く、わくわくする所が好きです✨

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