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2018.12.12

比叡山空中ケーブル 高祖谷駅 – 比叡山に眠るロープウェイ駅

廃墟の情報

比叡山空中ケーブル 高祖谷駅
空中鋼索線(ロープウェイ)跡
場所 京都府・比叡山の山中
建築 1928年
廃墟化 1944年1月


廢墟レポート vol.112:比叡山空中ケーブル 高祖谷駅 Rope way Mt.Hiei

 こんにちはtamuraです!

 比叡山にはロープウェイがありますが、過去に別の場所にあったという事はご存知でしょうか?

 昭和3年に京都電燈が初めて比叡山にロープウェイを通したのですが、現在の位置とは少し違う場所に通っていました。

 現在は深い森に覆われて、かつて賑わいを見せていた面影はありません。

 延暦寺駅は横高山や水井山へ向かう縦走路の途中にあり簡単に見つける事が出来ますが、支柱は藪こぎで地図を頼りに森へ入り込んでいかなければならず、今回は高祖谷駅のみの散策記録となります。

 ケーブル駅から歩いて約15分ほど、アップダウンはなくトラバースルートを歩いていくと突如として現れます。

 小さな建物しか残っていませんが、このコンクリート建築は昭和3年に建てられたものですので、マヤカンなどと同じ年代の少し洋風な外観をしていて、とても味のある廃墟になっているのです。

 建物は2つ存在し、券売や待合室などがあったと思われる簡易的な小さな小屋と駅舎が存在します。

 まずは駅舎から見ていきましょう。

 設備などは戦時中に休止した事によりすべて解体されているので、残っているのは建物のみ。

 ちなみに愛宕山ケーブルも1944年に不要不急線として金属供出の為に線路を撤去されているので、こちらも同じ時期に撤去されているので同じように不要不急線に指定されたのでしょう。

 アーチ型の入り口がとても特徴的です。

 ちょうど紅葉の時期で、多くの観光客が比叡山に訪れていましたが、ここには誰も来ず、一人で黙々と撮影していました。

 大比叡(山頂)へも行かず、この廃墟の為だけに登山してきて何してるんやろ…。でも興味があるから仕方ない…!

 反対側の入り口。中央に一本通路が貫かれていて、左右に小部屋が一つづつあり、その他は機械室であったと思われます。

 高祖谷駅の絵葉書などの画像を探しているのですが、もともとどのような形をしていたのか気になります。

 ちなみに昭和12年の運賃は拾銭(10銭)だったそうです。現在の価値にして300~400円くらいかな?

 高祖谷駅から比叡山駅までの距離は641m、所要時間は4分だったそうです。

 ケーブルのみだった頃はケーブル山頂駅から延暦寺まで距離があった為、参拝の時間短縮の為に作られたという事です。

 屋根もなく雨ざらしになっているので苔などが生え放題。遺跡のような雰囲気。

 昭和31年にロープウェイの営業を再開しましたが、ここは二度と使われる事なく、新規に現在の位置にロープウェイが建築されました。

 ケーブル駅から高祖谷駅まで15分ほど歩かなければならず、乗り換えが不便である事から利便性を考慮しそうなったのだと思われます。

 小部屋を撮影。

 片方の小部屋にははしごが残されていました。

 側面を撮影。一つだけ大きく口を開けている所が。

 機械室のような感じ。中には何もありませんが、底が深くありました。

 建物の下には、ちょっとした跡がありますが、なんの跡かはわからず。

 券売所。こちらは鉄筋に薄いコンクリートを貼り付けただけの壁なので、長年放置された事によりほぼ崩壊しています。

 壁には過去数十年のうちにここへ来た人々の記念落書きが沢山ありました。

感想・まとめ

 かつて空を駆け抜けたロープウェイは鉄くずとなり戦争で消え、駅舎のみが深い森の中に悲しく残されていました。

 かつては延暦寺参拝の時間短縮の為にロープウェイが建設されましたが、比叡山の京都側の観光開発の為に新しく四明岳側にロープウェイを建築したのでしょうか。

 他にも関連施設で、急斜面にあり四角型の2階建ての建物跡があるとの情報で探しているので、情報をお持ちでしたら連絡お待ちしております。

山と終末旅の管理人について
たむ - tamura -
平成3年生まれ、京都に住んでいます。登山や、夜景、人の少ない観光地へ行って、現実から逃げ、非日常的な体験をする事が好きです。

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