古都コトイメージSmart

2014.01.07

登山で遭難しない為の対策と、遭難した時の対処方法

山で遭難しない為に

 

 山で道迷いや滑落などで元の道や下山ルートを見つけ出せずに身動きがとれなくなる事を遭難といいます。命の危険に関わりますし、周囲に多大な迷惑をかけてしまいます。遭難をしないために必要な事をかいていきます。

まず最も大事な事は、不安になった場合でも焦らずに自分の今いる場所を確認する事です。確認を怠れば間違っていた事が更に不運な間違いを引き起こす事があります。間違いを正せるように焦らずに行動することが最も重要であるといえます。

 

必ず地図を携帯し、予めルートを決めておく

 

 当たり前の話ですが、地図の携帯は絶対です。私は国土地理院のタイルを印刷して持っていきます。またそれとは別に携帯でアプリの「山と高原地図」を入れていて、それも活用する場合があります。(ルート変更の時や見どころを確認する時など)

登山において歩くルートを自分で把握している事が何よりも重要な事であり、歩くルートを知らずに山に入るというのが最も危険な事です。ルートを知らないという事こそが道迷いの遭難の原因の一つである事もたしかです。

どこの登山口から登って、どこの尾根(谷)のルートを通って山頂につき、どのルートで下山するというのを予め地図でチェックしてから登るようにしましょう。

皆が登っているから、有名な山だからと安易な考えで地図を持っていかないというのが最も危ない考えです。昼間は大勢人がいる所でも夕方になれば全く人気のないという場合もありますし、名前だけが有名で実は登山者はあまり居ない、週末は人が多いのに平日は全く人が居ないという所もあります。

いざという時に、地図が無ければ自信を持って帰る事が出来ないので、地図というのが最も重要なものである事は心得ておいて下さい。

もし持っていかずに途中で、地図が無い事に気づいた場合は、携帯のアプリで地理院地図やその他地図を見ることが出来ます。山は電波が弱い場合もあるので、そういったアプリは予めダウンロードしておくと良いと思います。

パーティー(複数人)で登山する場合もメンバー全員が道を把握する

 

 パーティー登山の場合ははぐれない事が第一前提ですが、もしはぐれてしまった場合でもメンバー全員がルートを知っていれば登山口で合流できます。

リーダーが道を知っているから大丈夫という考えでは、リーダーを含め全員が遭難する場合もありますし、はぐれた場合は道を知らない人が間違ったルートを進んでしまう場合があります。

例え子供や初心者にでも「ここに看板があって、ここに山頂があって、ここが注意点」というふうにちゃんと説明してあげると共に、しっかり地図を携帯させる事が重要です。

登山中も地図は細かくチェックする

 

 上のマップは私が道迷いをした時の状況です。滋賀県比良山地を縦走中、蛇谷ヶ峰から南側にある須川峠に向かう途中、紫の点線方面に進んでしまいました。本来小ピークの手前で左にカーブするルートなのですが、ずっと尾根を歩いていた為、そのまま小ピークに登ってしまい、そのまま進んでしまいました。

少し進んだ所で緩やかな下りになっており、その時点で「急な下りがあるはずなのに…」と違和感は感じていました。そしてすぐに地図をチェックし、間違ったルートを進んでしまっている事に気づき、元のルートに復帰しました。

このように尾根をずっと歩いていけばいいんだろうという勝手な思い込みが道間違いの元になるという事もあります。今どこを歩いていて、この先の道はどうなっているはずだという事を細かく確認しながら歩くようにしましょう。ルートはわかっているからと過信するのも危険な事の一つです。

破線と境界線、周囲の地形を良く確認する

 

 地図は「山と高原地図」はとても訳にたちますが、どうも間違っている点が何度か見つかった為あまり使用しなくなりました。それからは国土地理院地図を信用して利用しています。

上の画像のように徒歩道と行政区の境線とが入り混じってる所があり、そういった場合は市町村の境の線に踏み跡があったりするので注意が必要です。

 

 線の種類によって表すものが違います。

 

 こういった所で踏み跡を頼りに歩き、違う尾根や谷に入ってしまう場合もあるので注意です。

間違えば当然景色も違ってきますし、方角も違ってきます。上の画像の場合、「市の境目の赤い文字」の所は小ピークになっています。ピークは通る予定になっていましたか?その先上りがあるはずなのですが下り続けていませんか?そういった所をチェックしながら歩いてみて下さい。

テープをチェックしよう

 

 山をあるいていると写真のようなテープが巻きつけられている事が多くあります。細い枝にビニールテープで巻かれているものや岩肌にスプレーのようなもので書かれているもの、色も赤や黄色、紫の場合もあり、このようなテープは市区町村や山岳会などが危険回避の為に設置したもので、活用した方がいいと思います。

ただし、山には様々なルートがあります。登山者用のルートでも別方面にいくルート、電力会社が使っているルート、普通の登山者が足を踏み入れないバリエーションルートなど、それぞれにテーピングされている場合があります。

この先にテーピングがあるからと間違ったルートに進んでしまわない為にも、先程書いた地図のチェックは必ず行わなければなりません。

テープはあくまでここは過去に人が歩いたよという先人の足跡であり、必ずしも皆さんが今から通るべきルートであるとは限りません。地図で地形をチェックし、方角を確認しこのテープのルートであってるのかをしっかりと理解した上で活用して下さい。

踏み跡(トレース)をよく見る

 

 山はあまり人が通らないルートでも微かに踏み跡がある場合が多いです。地図と比較しながら方角があってる事を確認した上で踏み跡は大いに活用できるものだと思います。

逆に急に踏み跡がなくなった場合はルート間違いを疑えるという利点もあります。

ただやはり踏み跡を頼りにだけ歩くと、別のルートに入ってしまったり、先人が今まで間違えた跡で途中まで踏み跡があったのに急に無くなって迷ってしまう場合もあるので、自分が今から歩くルートと今いる位置、そして方角をしっかり理解した上で利用しなければなりません。

登山予定ルートの登山口の名前や峠名くらいは把握しておく

 地図でしっかりルートを確認していても、登山口の名前や通過するポイント、峠の名前は必ず覚えておきましょう。特にパーティー登山でリーダーは全て把握していても、はぐれてしまった方が、どうすればいいのか分からないという状況に陥ってる所を今まで何度も見ました。

せっかく看板があっても自分が行くべき所を知らないと、身動きがとれません。勘で進むというのはとても危険な行為です。

看板は大雑把な場合も多い為、登る山だけでなく周辺の山の名前や大きな峠の名前程度は抑えておくとさらに安心感があると思います。

山道をよく観察しながら歩く

 

 ただ自然を楽しむ、山頂を目的にしてただただ歩くのではなく、目的地につくまで、登山口につくまでの景色や特徴をよく観察しながら山歩きしましょう。

「峠や分岐の名前」「特徴的な岩や木」はもちろん、地図を見ながら「この先に小ピークがある」「この先は下る」「あと何メートル(距離や標高)登る」「ここはトラバースする」「この先渡渉する」などなど言えばきりがないですが、登山道には様々な特徴があるので、この先の道がどうなっているのか、この場所はどうだったのか、考えながら山歩きをすれば為にもなるしより楽しい登山になるでしょう。

そうやって地図を確認しながら歩けば道迷いの可能性はぐんと減ると共に、万が一遭難した時でも、登山道の様子を思い返せば高い可能性で来た道を戻る事が出来ます。

遭難してしまったかも

 

 さぁ、準備万端で出発したものの、あれ、もしかして自分遭難してしまったかも…。そんな時はまずは焦らず地図を見てみましょう。焦ってもと来た道を戻ろうとすると同じような景色で実は全く違う道を進んでしまう事もあるので、まずは地図で自分の位置を考察してみましょう。

絶対合ってた所まで思い出す

 まずはどこまでは合ってたのかを冷静に思い出してみます。看板があった場所。踏み跡が確実にあった場所。人と出会った場所等。その場所をペンで○してみましょう。

その次に、その丸を書いた所から自分がどのような過程で今この位置にいるのかを思い出しましょう。ピークが何個あった。谷を横断(トラバース)した、どの谷を下った等、知らずしらずのうちに進んでいた道を思い出してみましょう。そして場所が分かればわかる地点まで戻って正しい道を探します。

周囲の地形をよくよく確認する

 

さて思い出せない。現在地が分からないとなった場合、よくよく周囲を確認しましょう。周囲に電線がないか、どこどこの方角にピークがあるか、尾根があるか地図と照らしあわせ場所を確認してみます。

自分の命に関わる事なので、分からないで済まさずに、自分で歩いてきたのですからよくよく思い出して見て下さい。

慌てて訳の分からない方向に進むと余計に分からなくなり、体力を消耗する上に、登り返す事が面倒になったりするので、ある程度の予想がつくまではその場でゆっくり考えてみる事です。

自分が今いる大体の位置、そして地図の徒歩道の方角をしっかり確認しましょう。持参のコンパスや携帯のコンパスを利用して、自分の方角をしっかり確認します。

そして徒歩道の最も接近している位置まで進み、トラバースなどで徒歩道に合流する方法があります。

とても歩けないような場所(崖など)にさしかかった場合、登り返す事が不可能な場合は、ゆっくり休憩し、巻けるルートがないかをよく調べてみます。この時、絶対に方角と自分が今まで歩いてきた方角、道を見失わないようにします。

つづら折りでもいいので、間違って歩いてきた方角にゆっくり登ってみましょう。

また谷などで周囲が暗く目印が分からない場合は、近くの(できれば徒歩道があるであろう方角の)ピークに登ってみましょう。視界がひらけて周囲の様子をよく観察する事ができます。また、ピークまで登れば元来た場所が予想できる場合がありますし、運が良ければ尾根伝いに正しいルートに戻る事ができる場合もあります。

それでも分からない…

 地図も持ってないしコンパスも無い、場所も全く検討が付かない、そんな場合はまずは下山しようとしない事です。特に沢の音が聞こえるから沢伝いに下っていけば!という考えは危険で、沢には滝や崖などがあり身動きが取れなくなってしまうというケースが多々あります。

山は上から下に広がっている為、山頂にちかければ様々なルートが集中しています。間違った方角に下れば下るほど正しい道に戻れる可能性は低くなり、危険性は増していきます。

また怪我をしている時や、天候が荒れた場合はその場を動かない事をオススメします。無理に動くと元来た方角を見失ってしまいますし、怪我をして無理に進むと体力の限界が来ます。

無理に動こうとせず、しっかり休憩し、焦る気持ちを抑えてゆっくり今までの事を思い出してみましょう。

動ける場合は、まずは来た道が分からなくても方角はわかるはずです。元の方角めがけて上に上に登ってみましょう。上りにくいピークや岩場がある時はそれを巻くようにして上に進んでみましょう。

最悪山頂まで登ってしまえば間違いなくルートはありますからね。

夜にならないうちにビバークする

 夜になれば周囲の様子がよく分からず、方角も分からず無理に動くのはとても危険です。真っ暗になり自分が今きた方角を見失う前にビバークを決心しましょう。

体力の回復をする為にも、よく食べてしっかり寝る事です。こういうときに食糧難になる事を避ける為にも食料や水分は多く持っていく事をオススメします。

チェルトやテントがある場合、建てれそうな所にたてます。もし建てれそうな所がなければ覆いかぶさるだけでも大丈夫です。寒さと雨をしのげる状態を作ります。

まとめ

 迷った時に最も重要な事は、自分が今歩いてきた道、方角を見失わない事、そして冷静に思い返す事です。また迷わない為に一番重要な事は登る前にルートをしっかりと確認すること、そして何よりも地図を携帯する事、そしてあるきながら地図を細かくチェックする事です。

どっちの方角にルートがあるのか、今どこに要るのか、地図がなければ予想する事がより困難になるので、地図を持たない事は絶対にありえない事だと思って下さい。

そして日頃から雨具やツェルトを持ち歩く事も重要です。雨具は登山では当たり前の装備ですが、ツェルトはいざという時にあるのとないのとでは全く違います。

自分の足で行くのだから自分の足で帰る!というのが登山のルールです。その為の自分にあった登山計画と、道具選びが大切になります。

山と終末旅の管理人について
たむ - tamura -
平成3年生まれ、京都に住んでいます。登山や、夜景、人の少ない観光地へ行って、現実から逃げ、非日常的な体験をする事が好きです。

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